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話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選

 初参加です。普段は予想ばかりの投げっぱなしジャーマンなのですが、今年は感想もストックしていこうということで手始めにこちらの企画で2016年を振り替えいたいと思います。遅刻しすぎですがよろしくおねがいします。

 参考にはこちらをどうぞ

shinmai.seesaa.net

 ルールは上にあったものにのっとらせていただきました。 

・2016年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。

 では

 

 ・この素晴らしい世界に祝福を! 9話 「この素晴らしい店に祝福を!」

 脚本:朱白あおい  絵コンテ:亜嵐墨石  演出:久保太郎 

 2016年の冬のダークホースから。メタ視点から始まって終盤までの天丼畳みかけで多くの視聴者をひきつけることに成功した1話やデュラハンとの戦闘・キャベツ収穫などいくつか候補はあったがこの話を選出。

 「サキュバスが好きな淫夢を見せてくれる」という男の妄想が具現化されたような店の話から始まり、マゾ女剣士ダクネスとの裸でのやり取りが見せ場のサービス回。局部や乳首を頭やものでうまく隠す構図によって全裸のシーンでも光を使わないコンテは巧みの一言に尽きる。担当の亜嵐墨石は名監督稲垣隆行の別名義であり、納得の仕事ぶりである。蟹の描写などつなぎのシーンも秀逸。脚本の朱白あおいはこれから要注目の脚本家の一人である。

 

 ・ふらいんぐうぃっち 11話 「くじら、空をとぶ」

 脚本:福田裕子 絵コンテ:二瓶勇一 演出:篠原正寛 

 2016年まちがいなくトップの日常系アニメから。キャラクターのやりとりや仕草について「芝居めかない」よう自然な演出が全話で徹底さており、どの話も甲乙つけがたいほどの完成度を誇る。そのため選定は困難を極め、特に桜美かつし監督のコンテ演出が暴力的なまでの充足感を与える1話とは接戦だったが、空飛ぶ遺跡クジラという非日常の要素のロマン度合から11話。

 放送当時はこの後に続けて12話を流し2話まとめて最終回としていたため、思い出補正もあるかもしれない。しかし、空飛ぶクジラがその雄大な姿を現す際の演出やおいしそうなホットケーキの描写など、「非日常」と「日常」の要素をそれぞれに活かしたシーンがふんだんに詰まっている。さらに、1話の箒で飛ぶシーンほどの完璧なまでにシームレスな接続ではないが、これら二つの要素が混ざり合うというこのアニメの醍醐味をしっかり味わえる。遺跡の壁画の細かな描きこみやそこから推察される歴史などスケールの大きさもグッドポイント。

 

 ・Re:ゼロから始める異世界生活 18話 「ゼロから」

 脚本:中村能子 絵コンテ:長山延好 演出:古賀一臣

 個人的にも世間的にも2016年を代表すると言っていい作品から。魅力的なキャラが多数おり、毎話が恐ろしいほど強いひきをしているためどの話も魅力的。特に主人公スバルが初めて自分から死に戻りを行う7話やレムの笑顔が心に焼き付く11話、ラストで圧倒的絶望を視聴者に与えた15話など、候補となる話数は多数あった。しかしそんな中でも頭一つ抜けて心に刺さったこの話をチョイス。

 13話からここまで苦境に立たされ続けてきた主人公がついに心折れてしまう前半から、レムと2人のかけあいのみで紡がれる再生の物語である後半。特にこの後半が圧巻の二文字。原作者が「この一連を描くためにこの作品があった」と言うだけのことはある。

 OPとEDにCMまで削って確保した尺の中、レム役の水瀬いのりとスバル役の小林裕介の熱演による会話劇がまず強烈。さらに絵としてはただの立ち話になるそのシーンを演出でうまく盛り上げているところも見どころ。陽の光を心情と合致させるなどの演出はベタだが大変効果的な用いられ方がなされている。特殊ED曲として使われるレムのキャラソンも素晴らしく、水瀬いのりの歌唱力と演技力から紡がれる心情にシンクロした歌詞は思い出しただけで涙腺が緩む。毎回サブタイトルが最後で提示される仕様のため、これらのシーンを終えた最後の最後で「ゼロから」というタイトルを踏まえた言葉が画面いっぱいに写されるのも感動ポイント。事前にこのサブタイを知らないで見られるTV放送では不意を突かれる形になるため、倍の威力がある。

 

 ・アンジュ・ヴィエルジュ 9話 「誰よりも速く」

 脚本:高山カツヒコ 絵コンテ:田村正文 演出:福多潤

 夏の名作から。全話通して高山カツヒコのめんどくさい百合大好きな感じが伺える話が多く今回一番迷った。特に「ともだち」がキーワードになっていた6・7話や吸血=エッチな行為という設定と吸血鬼ちゃんが可愛すぎる5話などあったが、監督コンテや演出も光る9話をチョイス。

 アマネの言葉を誤解していたステラが紗夜にされたビンタをきっかけにその真意を理解する話の流れ。そこに「誤解が解かれることで壁を打ち破る」というメタファーな要素を掛け合わせた構造がうまい。さらに「無限の半分の距離を超高速で飛ぶ」ことからくるスケール感の表現、飛行シーンなどが加わることで、印象深い1話となっている。個人的には敵となるセニアとカレンの融合体が分離するまでのロジックも大変好み。高山カツヒコの筆の冴えといえる。

 

 ・91Days 8話 「帳の陰」

 脚本:木戸雄一郎 絵コンテ・演出:古川順康

 2016年で一番話運びが素晴らしかった作品から。どの話数も次への引きが強く予想しきれない展開をしていくため選出が難しかったが、個人的に一番衝撃的な展開をした8話を選択。

    ここまで順風満帆にきていたキレ者ファンゴがこのタイミングで殺されるという展開がまず予想外。さらにそれがここまで大人しい印象を与えていたコルテオによるというのがさらに予想外ということで、二重に驚きな展開がなされる話数。マフィアの中でも特に暴力的で周りからも危険視されていたファンゴが元は一般人で周囲に流されて来ただけのコルテオに殺されるという点も意外性がある。コルテオの追い詰められた絶望的な表情に対してファンゴが薄ら笑いを浮かべて死に行く対比も素晴らしい。このシーンを表現する帳の陰というサブタイもおしゃれな話数。

 

 ・ラブライブ!サンシャイン 8話 「くやしくないの?」

 脚本:花田十輝 絵コンテ:浅野勝也 酒井和男(ライブパート) 演出: 浅野勝也

 個人的に大満足だったラブライブ!サンシャインから。主人公ちかちゃんの心のうちが見える回をチョイス。これ以降の全部の回が候補になったが、それらのシーンの引き金となっているということで頭一歩抜けている印象。

 冒頭のライバルグループのライブシーンが曲も含めて強烈なのもあるが、一番印象的だったのはやはりラストの海でのシーン。そこまで本音を押し殺していたちかに対してサブタイトルのセリフをかける梨子。そこから始まる心のうちを吐き出す独白はひとつひとつの言葉に感情がこもっており、思わず泣けてしまう。そうして「悔しい」という感情を吐露したのちに前に進む原動力へと転化する流れがしっかりと描かれているのも印象を深めるポイント。ラストに「0」という結果の書かれた紙が大写しになるのも前向きな爽やかさがあり、この話の良さを際立たせている。

 

 ・装神少女まとい 11話 「いってきます」

 脚本 黒田 洋介 絵コンテ・演出:川村賢一

 信じてよかったインフィニット秋アニメから。それまでギャグ担当で笑わせてくれてきたゆまちんが大人たちを責めるシーンが涙を誘う10話とも迷ったが、本筋のテーマに沿った泣かせどころがあるこの話をチョイス。

 とにかく泣かせるポイントが多い。まといが父親の買ってくれたワンピースを着て最後の戦いへ出発するところや、すべてを理解した父親があえて何も言わず送り出したところなど、何度見ても涙腺が緩む。自然に見送るつもりだったしんごくんがこらえきれず泣き出すところなどは秋アニメでもトップの感涙度。各々に覚悟を決めてきた3人が最後に揃って装神するシーンもさわやかで印象深い。

 

 ・Vivid Strike! 4話 「リンネ・ベルリネッタ」

 脚本 都築真紀 絵コンテ:西村純二 演出:吉田俊司

 キングの新しい戦力、水瀬いのり小倉唯ダブルヒロインお披露目アニメから。ミウラの肋骨が折られる回やヴィヴィオとリンネ、リンネとフーカの試合など選びたい話はいくつかあったのだが、やはり思い入れも印象も段違いなこの回を選んだ。

 終盤のリンネによる悲壮な仇討ちによって視聴者にセンセーションを巻き起こした回だが、実は前半から相当に秀逸。派手な絵面はないのに話に引き込まれてしまう音の使い方や演出の妙。これらを支える西村監督担当のコンテ・脚本の都築氏のストーリーセンスが光る。特に祖父の死にいじめを重ね掛けする二重の追い込み展開は短時間で視聴者に不快な印象を植え付けるのに成功している。こうしたいじめ行為の陰湿さといじめっ子たちの狡猾さがラストの悲しいカタルシスに結実しており、流血沙汰も唐突でないものにしている。

 

 ・フリップフラッパーズ 6話 「ピュア・プレイ」

 脚本:綾奈ゆにこ 絵コンテ:立川譲 演出:博史池畠

 秋の衝撃作品から。毎回こだわりが半端ないため、視聴者に強烈なインパクトを与えた激震の1話やホラーテイストの5話・ふざけすぎな8話など候補が多かったのだが、映像の印象に加え綾奈ゆにこ氏のストーリーの秀逸さも光る6話を選出。優しいおばあちゃんが出てくるだけで涙腺が緩むのに、そこに認知症からの「忘却」という要素が入ってきており、無限に泣けてしまう。

 ピュアイリュージョンへのダイブが過去とリンクしている、過去を改変して現在にまで影響を与えるといった設定がストーリーのなかにうまく組み込まれ、示されている。訪れた世界が実はココナとパピカのよく知る先輩の過去であることを二人が先輩の名前を言うことで確認する演出、ラストの先輩の笑顔としぐさで現実が変化したことを表現する演出など、どれも鮮やかに決まっている。特に先輩の名前については5話までひた隠しにされていたという伏線も相まって、この話数を全話の中でも特に記憶に残るものにする機構を担っている。他にも色の付け方で精神世界の違いを表現する点など語りつくせないほどのこだわりがあり、とても素晴らしい話となっている。

 

 ・ブレイブウィッチーズ 4話「戦いたければ強くなれ!」

 脚本:鈴木貴昭 絵コンテ:あきとし 演出:池端隆史

 1話とばしたらクオリティが段違いになったブレイブウィッチーズから。練りに練られたキャラクターたちの魅力がいかんなく披露される作品のため、下原さんの博学設定が生かされる衒学趣味の5話や思いやる気持ちがすれ違ってしまう姉妹回の10話など、好きな回が多数。その中でもひかりの根性があっぱれな4話を選出。

 魔力不足という絶対的な才能のなさを教えるための無謀な課題がそのまま魔力制御の特訓に転化され、ひかりが自分らしい戦い方・強さを手に入れるというスポ根の王道的展開。魔力を利用した垂直な壁のぼりという修行方法は既視感があるが、それでも「あなたはあなたになりなさい」というロスマン先生の厳しくも優しい言葉にはグッとくるものがある。あと一歩のところでくじけそうになったとき、管野の挑発がひかりのやる気に火をつけるというシーンもポイントが高い。修業内容が10話で姉と妹の間の才能の差を示すのに使われていたり、9話で弱気になった管野にひかりが喝を入れるシーンがこの回との対比になっているなど、後の話への伏線になることも選出理由のひとつ。