序文
夏も終わりです。最後の最後でけものフレンズの騒動に全部持ってかれてしまった感じが強いですが、まだ20017年には秋クールが残っています。春と同じくらい気合の入った企画が多い秋クール、2017年の締めとしてふさわしい楽しみな内容になっています。
以下は秋アニメについての、各作品の軽い紹介、勝手な予想となっています。深夜アニメ・30分アニメを基本にして紹介してるので、朝帯や夕方アニメ、5分アニメには抜けがいくつかあります。15分アニメ(今期だと徒然チルドレン、アホガール)も対象外です。公式等ソースの確かなものから得た情報を使うよう心がけていますが、基本は個人的なメモの延長です。なので主観と適当な予想が交じった雑多なものになってますが、今期アニメ視聴の参考になれば幸いです。前半がオリジナルアニメ、後半が原作モノになります。
原作ものとオリジナルは個人的に次のように分けています。
原作もの:別媒体で発表済みのストーリーをアニメでなぞる形式のもの
オリジナル:上記の原作もの以外。なぞれる原作がないもの。
ラ!みたいなキャラだけ固まってるメディアミックスやソシャゲのアニメ化もオリジナル扱いです。アニメ見てストーリーの展開が気になったときに先取りできるのが原作もの、できないのがオリジナルだと思って貰えればいいです。感覚で分けてるのであてはまらないものも何個かありそうですが。
文章を読むのが面倒な人はこの動画をどうぞ(いつ消されるかもわからなですが)
これらの動画は一応違法アップロードの扱いなので、合法にPVまとめをシェアしようというこちらのサイトもどうぞ
オリジナル
つうかあ
監督 田村正文
構成 高山カツヒコ
制作 シルバーリンク
シルバーリンク10周年記念のオリジナルアニメ。今までブレイブウィッチーズのようなキャラクターコンテンツのアニメ、キャラは既存でストーリーは新らしく紡がれる実質的なオリジナルアニメはいくつも手掛けてきたSilverLinkだが、以外にも純粋な「オリジナルアニメ」はユリ熊嵐以来2回目となる。
女子校生による二人乗りバイクレース、サイドカーレースが題材。TLの百合好きが騒然とした通り、バディとの絆やライバルとの関係などキャラクター同士の絡み要素がたっぷりとありそう。
監督・構成はいずれもアンジュヴィエルジュの時と同じ。2016年の傑作オリジナルアニメのひとつと同じ体制を敷いているという事で非常に心強い。このほかにも10周年企画ということでシルリンとは文字通り「つうかあ」なスタッフ陣が応援してくれると思われる。オリジナルではもっとも期待している作品。
アニメガタリズ
監督 森井ケンシロウ
シリーズ構成 広田光毅
制作 ワオワールド
今期いちばん設定がヤバいオリジナルアニメ。タイトル通り「アニメ」を「カタル」いわゆるオタクたちの物語である。アニメ研究部という部活を舞台にした学園ものコメディのようだが、あらすじには「世界の滅亡」という不穏な言葉も飛び出しており、その内容はいまいち想像できない。以前あったアニメガタリという劇場用ショートアニメと世界観を共有しており、アニメ映画をよく見るタイプの人だと絵柄や登場人物の一部になんとなく見覚えがあるかもしれない。
本渡楓と千本木彩花というアイムのやべー新人タッグが主演、アニメがテーマという二点からガーリッシュナンバーを彷彿とさせる。しかし今回はあくまで「視聴者側」の物語であり、アニメについて一家言ある面倒なオタクたちが主役。オーディションの際もアニメについてフリートークで語らされたりしたらしく、謎のこだわりと気合いの入り方を感じる。監督はフラッシュアニメーションを主なフィールドとしている人で構成は歴の長い人という最近多い組み合わせ。制作はタイムトラベル少女マリワカのところであり、全体的にコアなスタッフという印象。
アニメの見方には一家言あるオタクも多いだけに、下手な内容を出すと炎上もあり得る題材。リスクばかり高い気もするが、主演の二人の組み合わせが好きなだけに頑張ってほしい。
Wake Up, Girls!新章
監督 板垣伸
制作 ミルパンセ
WUGのアニメ、待望の新シリーズ。と言いたいのだが不安な要素が多い。
生みの親である山本寛を切り捨ててから巣立ちして*1新しいスタッフと共に紡がれる新しいストーリー。決別の証という事なのか、前期の話は途中からリセットされるらしい。後輩ユニットまで出てくるという事で、キャラデザの違いもあいまって“かなり別作品”という印象がある。
板垣ミルパンセという組み合わせはてーきゅうの印象が強いが、どんな題材でもしっかりこなせる人選ではあると思う。ただしシリーズ構成が入っておらず、シナリオがどういう方向性を取るかは分からない。
アイマスのサイドMやシンデレラ劇場2期、ラブライブ2期といった強すぎる競合と同じクールに放送するのは正直きびしい。せめて来期くらいに伸ばしてあげてほしかったが、下克上を期待したい。
URAHARA
監督 久保亜美香
演出主任 荒川眞嗣
シリーズ構成 高橋ナツコ
制作 白組
世界中にアニメの配信をしているサイト、クランチロールで話題のイラストノベルが原作のアニメ。タイトルの通り、Kawaii文化の発信地である原宿が舞台。お話のフォーマットは「女の子が襲来してきた宇宙人と戦う」というオーソドックスなものであり、原宿という舞台から生まれる色彩感や独特の世界観を押し出していくようである。
監督はテレビアニメでは聞かない名前だが、MVやテレビのOPタイトルのCGアニメを主に作ってきた人。テレビアニメより抽象的、アーティスティックな方向の人を監督に据えつつ演出主任・シリーズ構成に安定感のあるスタッフを据える組み合わせは、最近多い「作画方面の初監督×ベテラン構成」に通ずるものがある。ポップな雰囲気が最高にクールなアニメになる予感がひしひしとする。
Robomasters The Animated Series
監督:山本 靖貴
シリーズ構成・脚本:山下 憲一
アニメーション制作 ダンデライオンアニメーションスタジオLLC / GONZO
日本と中国の合同企画によるオリジナルアニメ。最近勢い激しい中国資本がついにオリジナルにまで波及してきた。タイトルにある通りロボアニメだが、SFチックな兵器としてのロボットが出てくるわけではなく、学生による自作ロボット・ドローン競技がモチーフとなっている。日本でいうところのロボットコンテストのようなものであり、中国のそれを参考にしているとのこと。ロボティクスノーツからさらにSF要素を抜いて地に足を付けた感じか。PVからも青春アニメのにおいを感じる。
監督と構成は「実は私は」のコンビ。地味だがいいアニメを作ってくれると期待できる。制作はGONZO。18ifで自らの作りたいアニメを夢世界に投影していたGONZOが念願かなってロボアニメを作れていることには涙を禁じ得ない(個人の感想です)。
放送形式が特殊であり、日本でのテレビ放送はWOWWOWとアニマックスだけで地上波はなし。代わりに配信が充実しており、中国をはじめとして世界に照準を向けている。WOWWOWだけで見られるアニメといえばかつては隠れた名作の宝庫*2だったが隠れすぎて撤退を余儀なくされた枠。当時とはネット事情も様変わりした現代にもう一度このアニメ群が復活してくれるか、期待がかかる一作となっている。
Just Because!
監督 小林敦
構成 鴨志田一
制作 PINE JAM
さくら荘の原作者と月曜日のたわわの人のキャラデザで送るオリジナルアニメ。高校三年生の冬を舞台にした恋愛群像劇となっている。
制作はTVアニメ処女作のゲーマーズでいい感じのPINE JAM。人物の芝居作画、演出に定評があり、ジャンル的に相性ばっちりと思われる。比村奇石のキャラを動かすことに関しても「月曜のたわわ」ですでに成功しており、作画の面では特に心配ないと思う。
監督は今回が初めての小林敦。ガルパンの演出とかで有名らしい人が果たして。
アイドルマスター SideM
監督 原田孝宏・黒木美幸
制作 A-1 Pictures
秋のアイドルアニメ祭り最大手。男性アイドルを育成するゲームなので女性向けの印象だが、Twitterで見てると男性ファンも意外と多いらしい。アイマスというブランドに加え、あくまでアイドルをプロデュースするゲームであって恋愛には発展しないからか。とにかく男女共に人気があり、でかいコンテンツである。
監督はどちらも初めての二人。原田さんはモバマスで、黒木さんはオカルティックナインで副監督を務めていたが、どちらも初というのはやはり不安。それでもモバマスで一番すきな幸子回を書いていたゆにこ氏が構成に入っており、個人的にかなり期待値高め。男性アイドルものは多めの今期だが、オリジナル・原作あわせても注目度はトップクラスである。覇権の風格を見せてほしい。
ラブライブ!サンシャイン!!(第2期)
監督 酒井和男
構成 花田十輝
制作 サンライズ
押しも押されぬ大人気コンテンツ。ラブライブ!サンシャインの待望の2クール目
1期がミューズへの憧れから挫折、復活というプロセスを丁寧に描いており非常に好きだったのだが、はたして今回もその感動は起こるのか。
監督は宝石の国にいってしまったが構成に花田が降り、クオリティには問題ないはず。
Infini-T Force
監督 鈴木清崇
構成 大野敏哉
日テレの深夜アニメ枠「Anichu」の作品。フル3DCGアニメ。
ガッチャマンやキャシャーンなどタツノコの昔懐かしいヒーローたちが同じ世界線上に存在して共闘するというタツノコ版アベンジャーズのようなアニメ。女性を主人公にしてヒーローを人気男性声優にすることで乙女ゲーのような要素も足している。ガッチャマンクラウズでヒットをとばした日テレが昨今の流行を読みこんで作った企画という感じがする。
ガッチャマンやキャシャーンは過去にリブート作品が制作されており、いずれもコアな層からの人気を博している。勧善懲悪という単純な正義観を疑問視するテーマ性とそれに基づいたシリアスな展開がここでも貫かれるのか。それともタツノコヒーロー勢揃いのイケメン祭りのような話になるのか。どっちに振れるかイマイチ読みづらいところ。PVの雰囲気だと前者によっていきそうだが
VANISHING LINE
原作:雨宮慶太
監督:朴性厚
シリーズ構成:吉村清子
制作:MAPPA
GAROの新シリーズ。スタッフはほぼ前作と同じだが、舞台設定が今までと全く違う近未来となっている。
炎の刻印のときからそうだったが、放送日時の関係でリアルタイムでの視聴どころか録画すら困難という欠点が全く改善されてない。そういうとこテレ東もっと考えてほしいぞ。
おそ松さん(第2期)
監督 藤田陽一
構成 松原秀
テレ東がまさかの大当たりを出した企画の2期。1期の話を聞いた当時は絶対こけると思っていた企画だったが、男性声優の女性人気とギャグものの女性人気の相乗効果の高さがうかがえる。
1期の終了から1年半たっており、女性向け作品の人気の移り変わりのはやさを考えると好機を逃してしまっている気も若干するが、ビッグコンテンツなのは間違いない。むしろSideMや他の乙女ゲーのアニメと被りが激しいことの方が厳しさを感じる。はたして2期も覇権を取れるのか。
戦刻ナイトブラッド
監督 菊池ナオヤ
シリーズ構成 柿原優子
制作 颱風グラフィックス
女性向けソシャゲのアニメ。PVの雰囲気だと戦国時代を舞台にしたタイムスリップもののように見えるが、正確には戦国時代「風」の異世界が舞台。武将のそっくりさんたちも全員が吸血鬼のようなものであり、主人公である女性の血には彼らの力を開放する力が備わっている。戦国時代とヴァンパイアという女性向け人気ジャンルの融合体。
製作の会社は聞きなれない名前だが、タイフーングラフィックスという名前で公開中のデジモンの新劇場版シリーズを作っているところ。構成もデジモンつながりの柿原氏。監督は王室教師ハイネを担当した菊池氏である。女性向けソシャゲの人気度は良く知らないが、声優陣の豪華さも合わせると意外と人気なのかもしれない。色々と読めないところが多い。
DYNAMIC CHORD
監督・シリーズ構成・脚本:影山楙倫
制作 すたじおぴえろ+
TBS木曜深夜枠前半。この枠では初めての乙女ゲームが原作となっている。原作ゲームはバンド恋愛ADVというくくりなのだが、アニメのあらすじには「日本の四季を背景に彼らのリアルを描いたドキュメンタリームービーが、今、幕を開ける」と書かれている。ここから察するに恋愛要素よりキャラクター同士の話や生きざまをメインに描く様子。それにしても日本の四季を背景にの文は絶対いらないよね。
美少女アニメや玄人好みのアニメが主だったTBSモクヨルに突如殴り込んできた乙女ゲーム原作、いったいどのようなものになるのか。され罪を放送前に落とすという失態のせいで枠の自体の存亡が一気に肩にかかってしまってる状況はかわいそうだが、頑張ってほしい。
TSUKIPRO THE ANIMATION
総監督 元永慶太郎
監督 松村樹里亜
構成 吉田玲子
制作 ぴーあーるえー
アニメイトの女性向け2.5次元アイドルコンテンツのアニメ化。1年の12の月をそれぞ擬人化したツキウタというプロジェクトを母体に、そこで出てきたつきのプロダクションという芸能事務所に所属する後輩ユニットという形で展開されている。女性アイドルの方は全く進展してないけどこっちはアニメ化なんですね。
ツキウタの方は川崎逸朗監督によって構成とほとんどのコンテや演出まで行われていたが、今回はスタッフ陣が刷新。総監督の元永慶太郎と監督の松村樹里亜はデジモンtriで同じ釜の飯を食べた仲であり、連携などは問題ないと思われる。構成の吉田玲子も含めて安定感のあるスタッフであり、ツキウタとは別方向でいいアニメになると思われる。
ドリフェス!R
監督:村野 佑太
シリーズ構成:加藤 陽一
制作 BNピクチャーズ
女性向け男性アイドルコンテンツ、ドリフェスのアニメの二期。前作同様「2次元と3次元のリンク」のコンセプトに沿って中の人も歌って踊れるイケメンになっている。この手のBLじゃない女性向けコンテンツは噂が流れてこないので人気度がいまいち分からないが、2期も無事作れているようなのでそれなりの成果は出ていると思われる。
結城友奈は勇者である(第2期)
総監督 岸誠二
監督 福岡大生
制作 Studio五組
劇場版の再編集もの。新規要素もあるらしいが、テレビのみの視聴者にはどこがそうか分からない。
好きなファンは既に劇場でじっくり見ているであろうし、いまいち話題としての盛り上がりには欠けるところ。劇場組の感想を聞く限りは好評の様であり、未視聴者としては楽しみである。
原作
このはな綺譚
監督 岡本英樹
構成 吉岡たかを
制作 Lerche
毎クール一つといわず五個くらいはほしい、美少女だけの優しい世界アニメ。今回は和風テイストに狐耳な少女が出てくる、普段の学園日常ものとはちょっと違う色合いの作品になっている。原作はもともと百合姫Sで連載されていたものが休刊をはさんで月刊バーズに移籍したものであり、足掛け9年の長期連載となっている。
監督、構成ともによく見る名前で安心だが、個人的推しは音楽にeufoniusの菊地創氏が入っているところ。00年代後半からのオタクにとっては懐かしい名前である。例のココロコネクトの騒動からあまり表立って出てくることがなく寂しい限りだったが、久々の登場は素直にうれしい。事前特番で流れるBGMも和×ファンタジーな世界観にあっており、始まる前から期待が高まる。制作Lercheということで作画も不安ないところ。
宝石の国
監督 京極尚彦
シリーズ構成 大野敏哉
制作 オレンジ
講談社アフタヌーンの人気漫画が原作のアニメ。体が宝石でできた人型の生物たちが侵略してくる月人と戦いを繰り広げる、という世界観のハイファンタジーとなっている。
アニメ化前から100万部という売り上げを誇っており、文句なしの人気原作。監督にラブライブやGATEの京極、構成につり球やガッチャマンクラウズの大野を据えており、気合いの入り方を感じる。オレンジが製作ということでフルCGになるようだが、CMを見る限りなにも違和感はない。むしろ宝石の無機質さと光沢がCGの質感とマッチしており手書きよりあっている気さえする。原作ものでは人気実力トップの作品。
クジラの子らは砂上に歌う
監督 イシグロキョウヘイ
構成 横手美智子
制作 J.C.STAFF
秋田書店のハイファンタジー漫画が原作。
広大な砂の海をゆく島のような船「泥クジラ」。そこにすむ記録係の少年が主人公であり、彼がある日漂着した廃墟船で謎の少女に出会うところから物語が始まっていく。
遠景のショット一発で引き込まれる美術とあらすじから伝わる重厚な世界観が持ち味であり、PVを見るだけでワクワクしてくる。特に背景美術は砂の海や泥クジラなど腕の振るいどころが多々あり、スタッフも気合が入っている様子。個人的にはそこに加えてイシグロキョウヘイ監督の特異な色彩を活かした演出も楽しみにしたい。
夏アニメのメイドインアビスが圧倒的ビジュアル力やストーリーで人気を出しているし、世間的にもハイファンタジー流行の兆しが見えている。スタッフも盤石の布陣であるし、J.Cの安定性を活かしてぜひ一発かましてほしいところ。
少女終末旅行
監督 尾崎隆晴
シリーズ構成・脚本 筆安一幸
制作 WHITE FOX
少女二人が誰もいない終末の世界を旅していく漫画が原作のアニメ。コアなファンが多く、ポストアポカリプスとロードムービーという最近流行の兆しが見えてきているジャンルを同時に含んでいるため、人気が爆発する可能性が非常に高い。
監督は初監督だが、構成のふでやす氏は原作ものもオリジナルもこなすベテラン。制作も実力に定評のあるWHITE FOXであり、心配はない。原作もののダークホース的存在。
Evil or Live
原作 李暁楠「理想禁区」(テンセント漫画連載)
監督 董易
アニメーションプロデューサー 張縁 陳巍
アニメーション制作 絵梦
隆盛の著しい中国の漫画が原作のアニメ。ネット中毒になった若者たちが更生施設に送られるが、そこは更生とは名ばかりの監獄のような施設だった、という社会問題にも踏み込んだ感じのジュブナイルサスペンスとなっている。
制作は中国アニメといえばでおなじみの絵夢。今期は日本側のスタッフを主軸に据えたセントールの悩みで好評を博しているが、今回はオール中国側のスタッフで作られている。「理想禁区」という原題からあふれるかっこよさに期待したい作品なのだが、放送時間が厳しい。火曜深夜はすでにテレ東と日テレで若干の被りがあるが、更にそのどちらにも食いこむ時間帯での放送になっており、最悪の場合録画すらされない場合がある。はたしてこの地獄のような時間帯を生き残れるのか。
十二大戦
監督 細田直人
構成 村井さだゆき
制作 グラフィニカ
結構前からCMがよく流れていたアニメ。12人の殺し屋がバトルロワイアル形式で殺し合うという亜種デスゲームもの。というか英霊を召喚しないで自分でやる聖杯戦争。西尾維新が原作であり、人気も高い。
構成はシドニアの騎士・キノの旅で構成をしていた村井さだゆき。新作のキノの旅の方はいいんですか。監督は未来日記やはたらく魔王さまの細田直人であり、原作ものの裁き方は上手いほう。西尾維新の濃いめの原作をどう活かしてくるか見定めたいところ。
制作のグラフィニカは主にCGの会社であり、楽園追放などを作っていたところ。正直このレベルになるとCGなのか手書きなのかよくわからなくなってくる。
ネト充のススメ
監督 柳沼和良
副監督 傳沙織
シリーズ構成ふでやすかずゆき
制作 SIGNAL.MD
漫画アプリcomico連載作品。ReLIFEやももくりでおなじみのところである。
脱サラしてネトゲ三昧のニート生活を始めた盛岡森子がネットとリアルの両方で運命的な出会いを果たすという少女漫画的なあらすじ。ヲタクが主人公の少女漫画原作アニメというと私がモテてどうすんだ、を思い出すが、あちらの売りだった逆ハーレム的要素はこちらでは薄い。最近だと「ネトゲ嫁」のような、ゲーム内と現実の関係が交錯していく感じが売りのよう。
ヒロインの声が能登さんであり、かなりはっちゃけた性格だが美人感が崩れてないのが非常に魅力的。Cimico原作のアニメは派手さはないが手堅い面白さのある作品が多く、今回も期待できると思う。
ブレンド・S
監督 益山亮司
シリーズ構成 雑破 業
制作 A-1 Pictures
今期のきらら枠。夏はNEW GAME!!で珍しく2期が作られていたが、今回はいつも通りアニメ化ご新規さん。カフェを舞台にした雰囲気などでA1によるごちうさの再生産とも言われているが、印象としてはかなり別物。
やはり推しポイントは構成に雑破業が入っているところ。今期は天使の3Pで真面目な実力と隙あらばネタを仕込んでくる抜け目なさを見せつけてきてくれたが、4コマという題材をどう扱ってくるかは見どころ。
監督は今回が初めてである益山亮司、作画方面の人であり、最近よく見るベテラン構成×作画系の初監督の組み合わせでもある。この組み合わせは割とHIT率が高いので面白いものになると期待できる。
Dies irae
監督:工藤 進
シリーズ構成:正田 崇
制作 ACGT
最近は少なくなっていたエロゲ原作のアニメ。2007年に最初のゲームが出てからコアなファンを取り入れつつ、10年の時を経てアニメ化まで漕ぎつけた作品となっている。
タイトルに「怒りの日」を表すラテン語をつけているところからも分かる通り、原作は厨二に属するようなオーラを持った伝奇バトルもの。副題を読ませる気がないところとかジャンルに伝奇を付けるところとかまさにって感じ。ラノベ界の厨二の極北であるされ罪と並んで秋の厨二アニメ双璧として君臨する予定。だったが、既にされ罪の方は春まで延期が決定されており、このタイプのアニメはここのみになっている。近いテイストの作品が少ないのは有利だが、ヲタクもライトの層が大半を占める昨今でこの00年代の濃い感じが受け入れられるのか。構成脚本は原作ゲームのシナリオライターと同じということであり、アニメとしてうまくまとめられているかも少々不安。
クラウドファンディングで資金の一部を最初に集めていたが、結構な額になっていたらしく意外に注目度は高い。成功すればクラウドファンディングによるアニメ化のモデルケースになりそうであり、その辺からも秋の見逃せないアニメのひとつ。
魔法使いの嫁
監督/構成 長沼範裕
制作 WIT STUDIO
コミックブレイドの人気漫画が原作のアニメ。少女ちせと魔法使いの二人を中心にした現代魔法ファンタジーとなっている。こっちがキャスターのちせでプリプリがアサシンのちせ。
最近増えてきた「劇場アニメの再編集版+α」という形式のアニメ。すでに全中後編が劇場で公開されており、ハイクオリティなものが流れてくると予想される。
既に2クールという発表がされており、どのくらい劇場のクオリティが維持できるか。ハードルが高すぎて自滅してしまうというのは最近見かけるパターンであり、劇場版の存在は強みにも弱みにもなる。ファンタジーもの需要は高まりつつあるが今期は競合も多いため頑張ってほしい。
UQ HOLDER! ~魔法先生ネギま!2~
監督 鈴木洋平
制作 J.C.STAFF
00年代どころか90年代から不動の人気を誇る漫画家、赤松健。その最新作のアニメ化。
タイトルにネギま!2をつけているところからも分かる通り、全体としてかつての大ヒットコンテンツに乗っかっていく姿勢がすさまじい。*3その最たる例がOPに「ハピマテ」を起用するという采配。ここまでくると懐古も一つの戦略なんだなと思えてくる。
制作のJ.C.と監督の鈴木洋平は最近だとダンまちをつくっていたメンバー。かつての「原作ブレイカー」の異名も今は昔となり、どんな原作でも安心して任せられるようになったJ.Cだけに、その部分だけは懐古しないでほしいところ。
妹さえいればいい
監督 大沼 心
シリーズディレクター 玉村 仁
シリーズ構成・脚本 平坂 読
制作 Silver Kink
最近の傾向のひとつである「アニメ化ラノベでひと山あてた作者の新作をアニメ化しようぜ」という流れ*4に乗っかったアニメ。今回は「僕は友達が少ない」の平坂読の新作を扱っている。はがない2期あんな終わらせ方させといてこっちアニメかするのかよ。3期大発表の前にということだろうか。
大沼心監督とSilver Linkという原作ものでは最も信用度の高い組み合わせ。さらに落第騎士や六畳間の侵略者で一緒だった玉村仁をシリーズディレクターに据えており、勝ちにきている感じがすごい。構成脚本が原作者本人なのが気になるのと、SilverLink自体がオリジナルアニメを一本同時期にかかえている点が心配ではある。
いぬやしき
総監督 さとうけいいち
監督 藪田修平
構成脚本 瀬古浩司
制作 MAPPA
今期のノイタミナ枠。人間離れした力を手に入れた定年間近のじいさんが主人公の漫画が原作。単純な勧善懲悪をなぞる話を”ヒーローもの”とするなら、ちょっとひねった設定やキャラから善悪の価値観、正義について描く”メタヒーロー”ものともいうべきジャンル。もうこの手のジャンル自体が定番化している気もするけど、やはり需要があるのだろうか。
タイバニのさとうけいいち監督にMAPPAの制作というのは神バハの組み合わせ。ここに亜人や残響のテロルの瀬古さんが加わった布陣となっている。ノイタミナよりアニメイズムの方が似合っているような。監督は3D関係の人であり、PVを見ても割とCGっぽい感じがする。
最大の特徴はキャストが実写俳優の人達だという事。名前だけだとなじみがないかもしれないが主人公の声は小日向文世さん。最近だと映画サバイバルファミリーで主演をしていた人。実写だと温厚そうな見た目でありながらサイコパスな役柄もこなせる実力派の俳優だが、アニメでどのくらい本領が発揮できるかは未知数。プレスコ収録らしいので技術的な問題はアフレコと比べて少ないのであろうが、声質の問題で初回の頃は叩かれる可能性は高い。
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
監督:長山延好
シリーズ構成:白根秀樹
制作:ディオメディア×スタジオブラン
今期の角川全10話アニメ枠。原作では「処女ビッチ」となっていた部分がしょびっちという単語に置き換わるというゲッチュ案件となっている。処女ビッチの”ビッチ”の部分を残して”処女”の部分を削るという判断はどうかと思う。
内容としてはヒロインが主に性行為に関する用語や知識を使うという下ネタ多めの下世話なラブコメ。このヒロインを指して「処女ビッチ」というのは誤用ではという指摘が原作の段階でされているが、そのあたりも含めて角川の漫画らしい漫画となっている。
監督は作画方面の人で初監督、構成はベテランという最近よく見るスタッフの組み合わせ。制作もディオメディアということで非常に「こちら側」といった雰囲気を感じる。歴史に名を残すことはないだろうが日々の癒しにはなるバカ作品になると期待される。
王様ゲーム The Animation
監督 佐々木勅嘉
構成 古努田健志
制作 セブン
今ではすっかり古語となりつつある携帯小説が原作。過去に数回実写映画にされてきたが、ここにきてまさかのアニメ化である。
ジャンルとしてはいわゆるデスゲーム系のホラー。合コンなどでおなじみのゲームにちなんだタイトルの通り、「王様の命令には絶対従わなければいけない」というルールの下にクラスメイト同士が疑心暗鬼の心理戦を展開するという内容。アニメ化に際し原作の話をミックスしたオリジナルストーリーとなるならしい。
漫画業界、特にネット漫画ではデスゲームもの。その最古参にあたるこのタイトルには懐かしさすらある。しかしこのジャンル、漫画では溢れていてもアニメ化したものは意外にもほとんどなく、視聴者層には新鮮なものに見える可能性もある。
キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series
監督 田口智久
シリーズ構成 菅原雪絵
制作 Lerche
「最近のラノベ批判」のときに叩き棒にされることの多い2000年代を代表するラノベ。14年という月日を経て、まさかの再アニメ化。当時の雰囲気をそのままに声優陣などは変えていくようであり、本当に新しいアニメとなっている。
監督はペルソナ3や双星の陰陽師の人。構成にオーバーロードやひなろじの菅原さんが入っているのは大いに強みと言える。Lercheの作画力も高いし旧作にひけをとらないものになると思う。旧アニメ版の作画がそこまでいいわけでもないし。
電撃文庫の押しも押される看板商品であるが、同時にここ数年でヲタクになったようなフレッシュな面々からすると隔絶も感じてしまう作品。このアニメが流行ったら「最近のラノベとは違う」論者が湧くだろうし、こけたらこけたで「所詮10年以上も前のオワコン」とか言われてしまいかねない。退くも進むも修羅道ならば笑って行けよ地獄絵図。この先に控えているフルメタの新作とか始まる前から撤退してしまったされ罪といった00年代の亡霊たちのためにも露払ってほしい。
Code:Realize ~創世の姫君~
監督 山本秀世
構成 ハラダサヤカ
制作 M.S.C
オトメイトの女性向け恋愛ゲームが原作。触ったものをなんでも腐敗させてしまう少女を主人公に、彼女が攻略対象の紳士たちとテロ計画に立ち向かっていく顛末を描いた物語。空想の都市ロンドンを舞台にしていたり秘密組織めいたものが暗躍していたり、なんとなくプリンセス・プリンシパルの面影を感じる(このアニメとプリプリは全く関係ないです)。
オトメイトはアニメ化タイトルも多く、女性向け―ゲームでは有名なレーベル。更に構成にはスタミュでその名を馳せたハラダサヤカが入っており、女性向けとしては安心のスタッフ陣だと思う。
血界戦線 & BEYOND
監督 高柳滋仁
構成 加茂靖子
制作 ボンズ
ボンズのセンスが抜群に発揮されていた血界戦線が返ってきた。と思わせておいて監督・構成は変更されている。前期の監督である松本と今回の高柳では経歴もかなり異なっており、ここ数年だと松本はオリジナル作品、高柳は原作ものを主に扱ってきている。
前期がオリジナルキャラを利用して1話完結の原作を縦糸でつなぐ形式だったという点とこの経歴の差を比べると、今回は原作に沿ったものとなるように思う。
監督構成の変更でテイストがどうなるかは分からないが、キャラデザや音楽、製作会社は変わってないので雰囲気は大して違わない気もする。なによりキャラは同じだし
3月のライオン 第2シリーズ
監督 新房
制作 シャフト
打ち上げ花火無事公開できてよかったね、なシャフトのテレビアニメ。
第1シリーズも無事放送できてたし大丈夫では。
食戟のソーマ 餐ノ皿
監督 米たにヨシトモ
シリーズ構成 ヤスカワショウゴ
制作 J.C.STAFF
ジャンプのエログルメバトル漫画。アニメの売り上げは厳しかった気もするが、原作人気をうけての3期ということか。
スタッフ陣はとくに変わらないのだが、原作は2期のラストあたりから数話を経ていまだに終わりの見えない長編を続けている最中。正直このタイミングのアニメ化だと原作通りではキリが悪く、オリジナルルートに入る可能性もありえる。あるいはアニメと原作でほぼ同じタイミングで切りあがるかもしれないが、正直不安要素は大きい。メインヒロインのえりなのcvが種田さんから金元さんに変更された点もあるが、解説役に徹することが常のキャラなのでそこまでは気にならないところと思う。彼女がポンコツ化すると残念金髪つながりで天道さんがちらつきそうという問題はあるけど。
干物妹!うまるちゃんR
監督 太田雅彦
副監督 大隈孝晴
シリーズ構成・脚本 あおしまたかし
制作 動画工房
美少女な仮面優等生、中身はヲタクなうまるが主人公の日常系ギャグ漫画が原作のアニメ。2年ぶりの2期となる。
制作スタッフは変わらず、あおしまたかしが率いる三人衆。制作も動画工房と変わりがないのは安心要素。しかし、このタイプの作品はどうしてもキャラコントに作劇が寄りがちであり、1期ほどの勢いでキャラを増やせない2期は相対的に面白さが失速してしまう場合が多い。はたして人気を保ったままで行けるか。
鬼灯の冷徹(第2期)
監督:米田和弘
脚本:後藤みどり
制作:スタジオディーン
地獄を舞台にしたギャグアニメ2期。何がどういうことか分からないが女性人気が高いらしく、1期もけっこう売れたらしい。
そんな1期からしかし監督・制作会社・キャラデザと変わっているのが少々不安要素。構成脚本が変わらないとはいえ制作が違うと演出も違ってきそうであり、雰囲気も変わる可能性は高い。というもののスタジオディーンもWITにまったく引けを取らない一流スタジオであり、女性向けもギャグも問題なくこなせるはず。
弔辞
されど罪人は竜と踊る
総監督 錦織博
監督 花井宏和
構成 伊神貴世
制作 セブンアークス
始まる前から死んだ悲しいアニメ。追悼の意を込めて名前だけを残しておく。
*1:いくら言動に問題があったとはいえヤマカン抜きでのWUGはもう別物ではと思ってしまう。アニメの中でキーとなっていた楽曲を作詞していたのも彼であり、その存在は想像より大きいと思う。せっかくあてた声優ユニットを監督でつぶしたくないというavexや81プロデュースの思惑も分かるがやはり不満がたまるところ。
*2:衛星放送、特にWOWWOWのみのアニメというのは2000年代には多かったが、今また増加の兆しを見せている。受信環境の問題から当時はどうしても話題になりにくかったが、ネット配信が充実している昨今では流行の仕方もまた違ってきている。撤退を余儀なくされた過去を乗り越えて今またこの放送形態が復活するか。注目したい。
*3:原作がUQ HOLDER!からネギま!2に名前を変える様を見ていても思ったが、基本的にこの作品周りの企画は全部ネギまという過去の栄光に依っている印象が強い。その感じは今回のアニメのOPをハッピーマテリアルにするという戦略にも露骨に出ている。10年以上前の曲を臆面もなくOPに持ってくるあたり、ネギまというコンテンツを使い潰してやろうという気概を感じる。ビジネス的には正しいのだろうが挑戦意欲の無さは盛り上がりに欠けてしまう。
*4:エロマンガ先生やヘビーオブジェクトなど割と当たりの多いこの流れ。嚆矢となるはずのゴールデンタイムが色々と迷言を残すような結果になってしまったが、やはり安牌ということで企画も通りやすいのだろうか。それにしても使い捨てるように消費して当たったものは使い潰す態度はどうなんだ。