2017年 話数単位で選ぶTVアニメ10選

 2018年になってしまいましたが、悔いのよう、2017年の話数単位10選です。

 1作品1話のレギュレーション以外は特に設けてないです。

① けものフレンズ 12話 「ゆうえんち」

kemono-friends.jp

 気付いたら今年一番のミラクルヒットになっていた作品から。

 このアニメを語るときによく言われるのが、のんきで優しいストーリーと廃棄されて人がいなくなったジャパリパークという対比。しかし、実はそれ以上に「お話の作り方」がとても上手い、というのがこのアニメのヒットを裏付ける要素であると思う。そんなストーリーの良さが結実しているのが12話の「ゆうえんち」である。

 絶体絶命になったかばんちゃんを助けるために結集する、今までの旅で出会ってきた仲間たち。1話のかばんちゃんの真似をすることで救出に成功するサーバルちゃん。奇跡の復活を告げたかばんちゃんに、セルリアンと共に海に沈むボス。場面を構成する要素だけ見たら定番かもしれないが、すべてがキャラと融和しており、自然にシーンとして成立している。アニメを作り続けてきたたつき監督だからこそできる芸当である。今年を代表するアニメを代表する1話であり、これからも語り継がれていくであろう1話。

 

② 南鎌倉高校女子自転車部 第7話 「わたしにできること?」

minakama-anime.jp

 今年最も不当な評価を受けていたと思う作品から。6話~8話にまたがる話なのだが、全編が試合となってる7話をチョイス。放送局がtvkしかなかったとはいえ、ニコニコでもアマプラでも配信していたのにほとんど話題にされていなかったのは納得がいかない。

 スポーツものにはタイプが主に2つある。1つは「全国制覇」や「優勝」という誰が見ても評価できるような目標に常に向かっていくタイプ。もう1つは身近なライバルとの勝負やスポーツの楽しさなど、個人的なことを標榜するタイプ。自転車アニメで言えば弱虫ペダルなどは前者に位置し、こちらは後者に属する。

 この話はその最たるもの。校内を舞台に、ママチャリに乗った他の部活の生徒たちと競走するという、はたから見たら馬鹿馬鹿しいと言われてもしょうがないような設定での勝負であるが、それがなぜか非常に面白い。心理的な駆け引き、仲間との絆、熱くなる要素がふんだんに盛り込まれている。そしてなにより、外から見たらばかばかしいことに真剣になる彼女たちの姿に「社会的な“正しさ”の外にある自分たちだけの“正しさ”」という輝きが見える。青春ものとしてもスポーツものとしても素晴らしいアニメ、素晴らしい話であり、未視聴の人はぜひ見てほしい。

 

③ フレームアームガールズ #12 「ラストバトル/君に贈るもの」

www.fagirl.com

 毎回が尊さの塊であるFAガールから。

 多くを語ると野暮になってしまう、アニメのキャッチコピーでもある「感情」の物語というのが最終話で結実した素晴らしい1話。別れが悲しいということを踏まえたうえで「別れは笑顔で」を実現するために歌って踊るラストは話の結末としても視聴者へ向けたメッセージとしても感動的である。

 

④ アクションヒロインチアフルーツ STAGE12 「情熱☆フルーツ」

www.tbs.co.jp

 アニメにおける劇中劇の扱い。その歴史に燦然と残る一作。運命の軛から逃れられないとうちひしがれる御前。しかし信じるもののために立ち上がり、駆け出す。仲間を信じ、自分宿命と戦う勇気。戦隊ものへの熱いオマージュに溢れたこの作品らしい、ベタだか燃える展開が最高である。

 チアフルーツというチームの成功との運命との対峙を一つの話に纏めあげたのも見事。これを可能にしたのはヒーロー戦隊の脚本に携わってきた荒川氏の腕であり、まさに彼にしか書けない話だったと思う。それまでの伏線を回収しつくしたという〆の美学も評価したい。それまでの回のサブタイトルが昔のアニメのオマージュだったのに対しこの回だけOPタイトルを持ってきているところも地味に泣ける。

 

⑤ ノラと皇女と野良猫ハート 第11話 「断捨離」 

nora-anime.net

 面白い話をするのに、時間なんて関係無い。5分あれば足りる。そんなショートアニメとしての可能性を見せてくれた1話。

 つかみとなる「魔法陣にいらない物を捨てる」という設定から始まり、魔法陣がトイレみたいだというボケの天丼。そこから魔法陣の中に吸い込まれた先で死んだ母親と会うという話のツイスト。ラストにはOPの歌詞を引用するセリフで〆るというにくい演出もあり、素晴らしいとしか言えない。

 全話見ても1時間もないので全話通して見てほしい。必ずここで泣けてくるはず。


 ⑥ プリンセス・プリンシパル 第2話「case1 Dancy Conspiracy」

www.pripri-anime.jp

 夏アニメの傑作から。

 ドロシーと父親の関係が泣ける7話やドロシーと委員長の関係が泣ける10話、江畑作画による剣戟シーンが冴えわたる6話など、すべての話が傑作の呼び名に恥じない出来なのだが、苦渋の選択でこの話。

 「プリンセスに接近する」というミッションに「密書を受け取る」というミッション。この二つのミッションを同時にこなすだけでも話としての完成度は高いのだが、そこにさらに「密書を隠し通す」というダメ押しのミッションにプリンセスとの心理的かけひきまでつける、サスペンスのてんこ盛り。何度見てもハラハラが持続する、スパイものとしての本領を最大限発揮している1話である。

 時系列的に頭にくる回で説明しなきゃいけない要素も多いはずなのにセリフ一つ一つがおしゃれでそんなことを感じさせないところも高評価のポイント。

 

⑦ ラブライブ!サンシャイン!!2期 第7話「残された時間」

www.lovelive-anime.jp

 去年の10選でも選んだラブライブ!サンシャイン!!の2期から。廃校が正式に決定した回。詳しくはブログ(ラブライブサンシャイン2期第7話が好きという話 - く~まるのぶろぐ(仮))にも書いたが、前半の廃校への必死の抵抗からの決定した後の打ちひしがれる中盤。そして廃校決定を乗り越えたうえで「自分たちにとってラブライブ!に出る意味。優勝を目指す理由」を再定義するという流れ。これらをひたすらエモーショナルな演出で描いていく話づくりが本当に好きで素晴らしい。

 個人的な「お話でないがしろにしてほしくないところ」をしっかりと押さえたうえで抒情性を極限まで高める、このアニメらしい話だったと思う。

 

⑧ 結城優奈は勇者である -鷲尾須美の章-  第四話 「たましい」

yuyuyu.tv

 銀ちゃんが死んでしまう4話から。

 ゆゆゆシリーズの悲惨さは「死ぬことすら許されず、ひたすらお役目の名のもとに自己犠牲を強いられる少女たち」というところにあったが、これはそこに至るまでについての物語。この回の銀の壮絶な死に方は壮絶としか言えないものであり、これを踏まえると勇者システムの悲惨さにも多少の理解ができてしまうほど。だからと言って許せるわけないけどな。
 今年も様々な声優の名演、怪演があったが、この回の花守ゆみりの演技もトップクラスのものであったと思う。2018年も冬アニメからレギュラーがあり、今後が楽しみである。

 

⑨ つうかあ 第8話 「Engage」

twocartv.jp

 去年の10選で選んだアンジュヴィエルジュを作った田村正文監督、高山カツヒコ構成、シルバーリンク制作のアニメから。最終話のめぐみのクソ女ぶりに心揺れたが、1話としての完成度でこの話をチョイス。

 実況担当のあいとねねがどういう経緯で今の実況という役割につくことになったか描く話であり、何者にもなれない自分へのいきどおりと二人なら輝けるという絆を描いた美しい青春物語である。

 この話はとにかく表現がびんびん琴線に触れてくる。ニーラーレスというバカな競技に熱中してる大人たちと何もないいい子の自分。手を伸ばしても届かない星、その手を繋いでくれる友達。大人のおふざけで離されていく手と手。シーンごとにピンポイントで感性のツボをついてくるこれらの対比やメタファーがとてもエモい。

 そして一番ヤバいのがこうした表現の積み重ねが結実する最後のシーン。50秒という長台詞による心情の吐露はまさに怒涛のようであり、ここまで溜めてきた感情の昂りがせききって溢れてきたという感じがする。以下にその書き起こしを付記しておくので、これを読んで感じるものがあったらぜひこの話を見てほしい。

「やめろー!よっぱらーい!

ほんとに、どういうつもりなのよ。いい大人が毎晩毎晩飲んだくれて、毎日好きなだけ走って、毎日楽しそうにしてて。

馬鹿みたいに騒いでて、それでも毎日なんか頑張ってて、悔しいけど馬鹿にできなくて。

なりたくてもなれそうになくて、怖くてそっちにいけなくて、でも羨ましくて、だけど何にもできなくて!

それでも見ていたくて、でも全然届かなくて。どうしていいかわからなくて!

寂しくて、悲しくて、走れなくて、話せなくて、馴染めなくて、友達なんてできなくて、それでも遊んでくれて、一緒にいてくれて、届くところにいてくれて、私の手を引っ張ってくれた、たった一人の友達なんだから!

私からねねちゃんを取るなー!!」

 

⑩  Just Because! #01 「On Your Marks!」

Story -「Just Because!」公式サイト-

 最終回で見事「神アニメ」となったJust Because!から。2017年は恋愛アニメ豊作の年であり、つきがきれいなども候補に上がったが、全話の総合点では横並ぶも単話での破壊力での選考となった。

 後半の物語的な引力が評価されることも多いが、このアニメの真髄は小林監督の生む空気感にある。キャラクタのみならず場面全体が画面の中から沸き立ってこちらを包み込む。まさに世界が「匂い立つ」ような画面作り。全話に渡って展開されるその演出の妙を最も鮮烈に感じたのがこの1話である。

 何気ない日常に漂う停滞感。ルーティンのような日々の断片を描く前半から、それを打ち破る主人公の登場、そして壊される今までの繰り返しの環。全てのシーンが目を捉えて離さない魅力を持っているのだが、特に白眉なのはラストの野球のシーン。ただの暇潰しのようなやりとりが徐々に熱を帯びていき、やがて停留していた日常を打ち破る。音楽による盛り上げも相まって本当に素晴らしいシーンにしあがっており、見返す度、飛び去っていくホームランの球を見る度に清々しくも熱い思いが込み上げてくる。