2019年 夏アニメ一覧(まとめ) 予想と紹介

序文

 6月末です。春アニメはフリージやこの音、ユーノなど思ってもみなかったところからの良作に恵まれましたが、反面本数が少なかった分、大きなムーブメントになるような作品はなかった印象です。個人的にはフリージが夏も継続して放送されることになったのがとても嬉しいです。グッズはよ。

 そんな穏やかな春をすぎ、季節は夏です。春より格段に30分アニメも増えるうえ、なろう勢が大量に現れたりと話題としても盛り上がる要素が多いです。

 以下は夏アニメについての、各作品の軽い紹介、勝手な予想となっています。普段は深夜アニメ・30分アニメを基本にして紹介してきたのですが、今回はショートアニメ、特に15分アニメに面白そうなものが多いので、そっちもまとめて書いてます。公式等ソースの確かなものから得た情報を使うよう心がけていますが、基本は個人的なメモの延長です。なので主観と適当な予想が交じった雑多なものになってますが、今期アニメ視聴の参考になれば幸いです。

 オリジナルと原作ものは個人的に次のように分けています。

  • オリジナル:上記の原作もの以外。なぞれる原作がないもの。
  • 原作もの:別媒体で発表済みのストーリーをアニメでなぞる形式のもの

 上記の理由から、ラブライブ!のようなキャラだけ固まってるメディアミックスやソシャゲのアニメ化もオリジナル扱いです。アニメ見てストーリーの展開が気になったときに先取りできるのが原作もの、できないのがオリジナルだと思って貰えればいいです。

 この記事は私見バリバリなので、情報だけ欲しい、5分アニメ、朝帯のアニメもカバーしたいという方は「つづきみ」のサイトやアニメイトさんのまとめをどうぞ。

  ここでなら今期作品のPVをほぼ全部見ることも可能だったりします。合法的に。

オリジナル

グランベルム

 スーパーになったアニメイズム枠のオリジナルアニメ。令和初のロボ×美少女なアニメである。と言っても原動力が魔術であり、分類としてはロボットではなくゴーレムに近いもののようだが。

 どうしてもレガリアを思い出してしまうところがある企画だが、現実が舞台だったり魔術が絡んだりと設定の根幹から結構違う。監督の渡邊、構成の花田、制作のNexusというのはわかば*ガールを作ったメンバー。そこにプロデュースでド安定のinfiniteが入るということで、質的にはかなり高いものになる可能性もある。令和最初のロボットものとして名前を残してほしい。

胡蝶綺 ~若き信長~

 放送前からちょくちょく名前が出てる謎のオリジナルアニメ。タイトル通り、信長が主人公の歴史ものとなっている。信長というと織田家を率いてからの乱世快進撃が題材になることがほとんどだが、今回はサブタイ通り「若き頃」が主題。なんと10代の信長が家督を継ぐまでを描くらしい。激渋である。

 監督・構成共に大ベテランな上、制作は隠れ良作が多いスタジオディーン。オリジナルとしてはかなり気合を感じるスタッフである。あらすじは言ってしまえばただのお家騒動であり、信長が勝つことは分かっているという歴史もの特有のハンデもある。この状況をどう打ち破ってくれるのか。期待したい。

Re:ステージ! ドリームデイズ♪

 コンプティーク発のアイドルコンテンツが原案のアニメ。中学生の女の子たちが中学生アイドル部活の頂点を目指すというのが基本的なコンセプトとなっている。

 角川の雑誌を基本にして展開、学校の部活でアイドルをやってる、リズムゲーが出ていると、要素的にはすごくラブライブシリーズっぽい。しかし、 こちらはキャラが基本的に中学生であり、和泉つばすのキャラデザも相まって相当幼く見える。主人公たちだけでなくライバル校まで含めてコンテンツを展開してるところも踏まえると実はナナシスの方が近いかもしれない。

 PVでは2Dアニメっぽく見えるが、グラフィニカが制作で入ってるところを見るとライブシーンは3Dで行くと思われる。シリーズ構成は原案と同じ team yoree. が担当。「夏色キセキ」の浦畑達彦や「血界戦線 Beyond」の加茂靖子を擁するチームであり、脚本的にはかなり期待できそう。アイドルものの肝である音楽面が気になるところだが、ぽにきゃんがどのくらい力を入れているのだろうか。放送枠が日曜10時というあたりには気合を感じるので、期待したい。

BEM

  • 監督:小高義規
  • シリーズ構成:冨岡淳広
  • アニメーション制作:ランドック・スタジオ

 タイトルだと何ものか分かりにくいが、妖怪人間ベムシリーズの新作。ちょっと前になんかゆるいギャグをやっていたが、そちらとは打って変わって相当シリアスな雰囲気になっている。イントロダクションの舞台説明に「人間の差別意識が顕在化したような街」と書かれているとか相当である。

 昭和アニメのリメイクものは定期的に来るジャンルだができはピンキリ。ガッチャマンクラウズのようなエポックメイキングな作品になってほしいが、果たして。

あんさんぶるスターズ!

 人気アプリゲームが原作のアニメ。メルスト、ラスピリを擁するHappyElementsのゲームであり、同社のコンテンツでも一番目にする機会が多い作品である。Twitterでもヒプマイ、アイナナと並んで何かあるたびにトレンドに上がるコンテンツの一つになっている。ラスピリのアニメ本編でも内輪ネタとしてパロディされていたりCMをよく打っていたので実況民的にもお馴染みである。

 監督はアイドルものではよく見る菱田正和、構成はシリーズのシナリオを担当する日日日であり、スタッフとしては傍から見るとド安定である。しかし、原作は主人公に自分を投影してプレイするタイプの人(広義の夢女子な方々)の人気が強いらしく、アニメPV内に主人公役が実在キャラとして出てきただけでそこそこ荒れるという一幕があったりも。アイナナやうた☆プリのときはとくに聞かなかった話だが、コンテンツごとに集まる人たちのタイプが違うのだろうか。刀剣乱舞や千銃士で展開されていた「主人公キャラがひた隠しにされる」という演出が正しかったことも逆説的に示された感じである。のっけから波乱の予感がする始まりだったが多少の荒れは人気の証ということで、今期の覇権候補の筆頭であることは間違いない。個人的には主人公役の坂本真綾がどのくらい喋るかに期待したい。

スタミュ(第3期)

  • 監督:多田俊介
  • シリーズ構成:ハラダサヤカ
  • アニメーション制作:C-Station

 演劇科の高校生が歌って踊るアニメ。1期で終わってしまうかと思いきや、きづけば3期まで来ていた。同じクールにあったダンスウィズデビルスの魂をささげた結果という可能性がある。2年生の2学期、ついに来た綾薙祭で自分たちの力だけでステージを行う、というのが今回の目標らしい。

 だいぶ話の進みは遅めだが、公式サイトには「最後の幕」という言葉出ていたりしており、華々しくフィナーレを迎える可能性は高い。コンテンツとして長く続くのか、物語として美しく終わるのか、果たして。3期目まで変わらずに続けられているスタッフに期待したい。

戦姫絶唱シンフォギアXV

 歌いながら戦うアニメの最新作。ついに5クール目に突入してしまった。4期の時点でだいぶ適合者以外を置いてけぼりにした感じがあったが、ここまで来たら突き抜いてほしいところ。新しい犠牲者新キャストにM・A・Oや愛美を招聘しており、いよいよ「歌って戦う」色の強いキャストが揃ってきたという感じがする。

トライナイツ

 日テレのオリジナルアニメ。ラグビーW杯に合わせたのか、ラグビーがテーマのスポーツものとなっている。

 とにかく情報が全然開示されていない。6月末日の時点で公式サイトで掲載されているスタッフが「制作:GONZO」だけなのはいったいなぜなのだろうか。GONZOのオリジナルというのはそれなりに期待もしたいところだが、せめて監督名も出してほしいところ。徹底した秘密主義はかつてゾンビランドサガが打ち出して成功したプロモーション戦術だが、あれと比べると出してる情報が地味すぎて話題性にも乏しい。化けることを期待したいが、いまいち賭けるのに躊躇する作品。

原作もの

荒ぶる季節の乙女どもよ。

 今期のアニメイズム枠の一角。岡田のマリーさんが原作を務める漫画のアニメ版となっている。「死ぬまでにしたいことは?」「SEX」というPVの台詞回しからして実にマリー節がきいている。このセリフに端を発して少女たちが「性」に振り回されるというのも実にマリーらしい生々しさである。

 原作ものだと纏め方が気になるところだが、脚本を原作者のマリー本人が担当しているということで構成的には心配なさそう。監督に安藤さんが来てるので実質「花咲くいろは」であることに目が行くが、制作のLay-duceと縁の深い塚田が共同監督で入ってるので制作的にも盤石そうなところも注目ポイントか。この手のコンテンツでタブー視されがちな「性」にどこまでマリーが踏み込んでくれるのか期待したい。

彼方のアストラ

 覇権候補筆頭の漫画原作アニメ。宇宙の彼方を目指す宇宙船を舞台にしたSFであり、ミステリーやジュブナイルの要素も取り込んでいる様子。

 とにかく原作の人気がすごい。某所では同じSF漫画の傑作である「11人いる!」クラスの完成度とも評されており、実力の高さがうかがえる。そんな高評価に応えるように制作陣も「ハクメイとミコチ」等を作った安藤監督×Lercheという組み合わせに海法紀光が加わるという非常にド安定のメンバー。5巻という短さでスパッと完結した原作も1クールアニメにはピッタリのストーリー量であり期待が膨らむ。原作勢からは「事前知識なしで見られるのがうらやましい」とまで言われるくらいなので、アニメとしての完成度が高くなることも期待したい。

可愛ければ変態でも好きになってくれますか?

  • 監督:いまざきいつき
  • シリーズ構成:山下憲一
  • アニメーション制作協力:アニメーションスタジオ・セブン
  • アニメーション制作:ギークトイズ

 俺たちのMF文庫J原作アニメ。タイトル通り変態なヒロインたちが活躍する作品である。シーサイドでドラマCDを出していたので、ラジオリスナーには馴染み深いかもしれない。

 今期だとかなり珍しい現代舞台のラノベであり、ジャンルもラブコメ。タイトルからくるノリの軽さもあり、差別化という点ではなろう原作勢などと比べてかなり恵まれた立場にあるといえる。上手くハマればヒットするポテンシャルは十分にある。野水伊織本渡楓がついにメインで共演を果たした歴史的作品であることも含めて注目したい。

コップクラフト

 今期結構な数のあるラノベアニメの一つ。一応「異世界」とつながった世界ではあるが内容はほぼ警察小説となっている様子。フルメタルパニックの賀東作ということなので、その辺は妥当と言えるところか。

 原作の賀東がそのまま構成に入っているということで気合を感じるが、板垣監督率いるミルパンセ制作というのは過去の作品実績からして正直大丈夫なのかという気もする。本人が悪いのではなくヤバめの企画を回されやすいという意味で。今期の中ではかなり傾向が違うしアニメで警察ものはかなり熱いジャンルなので頑張って当ててほしい。

ソウナンですか?

  • 監督:長山延好
  • シリーズ構成・脚本:待田堂子
  • アニメーション制作:Ezo'la

 女子高生×無人島サバイバルな漫画。ギャルが無人島サバイバルに投入というあらすじだけだとデスゲームものやパニックホラーのように思えるかもしれないが、実際は主人公の謎知識を活かして4人で仲良く生き抜く無人島ライフが描かれている。雰囲気としてはゆるキャン△に近いか。舞台は本当の無人島なのでガチガチのガチだし、ヤングマガジン掲載だけあってだいぶ絵柄もエッチな方向に振られているが。

 監督、構成、制作が全て「ハッピーシュガーライフ」と同じという強力な布陣。あちらが「日常に潜んだ異常」を扱ってたのに対し、こちらは「異常事態での日常」という真逆のようなシチュエーションであるが、実力のあるスタッフであることは確か。15分の尺もこのタイプの作品にはむしろ合っているので期待したい。

炎炎ノ消防隊

  • 監督:八瀬祐樹
  • シリーズ構成:配島岳斗
  • アニメーション制作:david production

 マガジンの漫画が原作。ソウルイーターの作者がいつの間にかガンガンからマガジンに移って描いていた作品である。人が突然炎を操って破壊を繰り返す怪物「焔ビト」に変わってしまう「人体発火現象」が問題になってる世界で、彼らによる火災から人々を守る消防隊員たちの物語となっている。それってプロメアでは。

 冗談抜きで、文言だけだと相当にプロメアと近い。当然ながらこちらの方が圧倒的に先(2015年連載開始)であり、間違ってもこっちがパクリと言われる筋合いはない。なんならこっちの作者が作者コメ欄で愚痴っていたとかなんとかというきな臭い話も出ている。

 とはいえ、あくまで似てるのは設定の導入だけであり、主人公の立ち位置も戦い方も全く別もの。映像もプロメアのTrigger節全開の感じとは対照的に丁寧に原作のテイストを再現したものになっている。似てるものは似てるものとして、こっちはこっちの良さがあることを見せてほしい。

 実況民的にプロメアとの類似より深刻なのは放送時間の問題である。今期から新設された「スーパーアニメイズム枠」なるものでの放送なのだが、なんとこの枠、TBSでは金曜の1時25分開始となっている。この時間はMXの1時5分始まりのアニメ(夏だと一方通行)に一部被っているうえ、テレ東のフルバとは完全な丸被りである。バズることが売れるためには必要なこの時代に放送時間被りはただでさえ不利なのに、さらには録画すらできない3本被りという事態。TBSはマジで頭がおかしくなってしまったのではないだろうか。せめてフルバが終わってからにするとかできなかったのか。

かつて神だった獣たちへ

  • 監督:宍戸淳
  • シリーズ構成:村越繁
  • アニメーション制作:MAPPA

 ハイファンタジーな漫画が原作のアニメ。改造手術によって異形と化し、戦争で活躍した「擬神兵」と呼ばれる兵士たち。かつて「神」と讃えられた彼らだが、終戦後は一転して「獣」として忌避されるようになる。そんな彼らと彼らを狩るハンターたちの物語、となっている。要するに「戦争後の兵士たちの扱い」というテーマをハイファンタジーに置き換えた作品である。

 原作者はあの「黄昏乙女×アムネジア」のめいびいであり、人間ドラマとしてはしっかりとできている。テーマ的にかなり似てるFairyGoneが春アニメであったので新鮮味は薄いが、MAPPAによる擬神兵とハンターの戦闘シーンに期待したい。

女子高生の無駄づかい

  • 総監督:高橋丈夫
  • 監督:さんぺい聖
  • シリーズ構成:横谷昌宏
  • 監督補佐:橘紗央莉
  • アニメーション制作:パッショーネ

 Newtypeの漫画が原作。女子のゆるいライフを描くという各誌に一つはある枠で、きららよりはキレのあるギャグ寄りな様子。総監督から監督・監督補佐・制作までの座組はひなこのーとと同じであり、こえがパッショーネの本気メンバーということらしい。そこに青豚で絶賛株価上昇中の横谷が構成に入っており、スタッフはかなり豪華である。

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。

  • 監督:柳瀬雄之
  • シリーズ構成・脚本:吉岡たかを
  • アニメーション制作:MAHO FILM

 今期相当数あるなろう原作アニメのひとつ。異世界ファンタジーではあるが、転生・召喚ものではなく現地住民が主人公となっている。偶然拾った少女を育てる中で親バカになってしまった、という設定が個性的なところか。「幼女大好きな主人公でも親なら許される」という発想はなかなか天才的だと思う。

 監督は異世界スマホの柳瀬雄之、構成が安定の吉岡たかをということで「原作の面白さを上手く抽出してアニメ化する」ということには長けている印象のメンツ。幼女の可愛さあふれるPVを見るに勘所はしっかり押さえている様子。他のなろう原作勢と比べると主張が薄めだが、始まったら化ける可能性が高い。

ダンベル何キロ持てる?

 筋トレ漫画が原作のアニメ。「いっしょにとれーにんぐ」のような短いアニメかと思いきや、なんと30分のフル尺である。ただトレーニングするだけでなく色々と物語が展開されるのだろうか。

 制作が安定と信頼の動画工房ということで既に一定以上の質は確実。さらに監督が山崎みつえで構成が志茂文彦ということで、日常ものよりはストーリーものに強い印象のスタッフだが一流なのは間違いない。アニメ化の発表時期から考えて原作の量があまりないように思えるが、この布陣ならオリジナル要素を足してもきっちり面白くしてくれるであろう。

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

 ラノベ原作の覇権筆頭。その強烈なタイトルと設定で初刊の頃から話題になっていた作品である。通常の異世界転生もののフォーマットでありながら、なぜか母親がついてくる上にその母親がチートという話である。

 00年代から続く「岩崎監督×J.C.STAFF」という原作ものド定番タッグに構成として赤尾でこ参加という、人気に恥じない完璧なスタッフ陣が揃っている。見た目の安定感だけでなく、話の核となる過保護な母親役に茅野愛衣を起用しているところからも座組の信頼性がうかがえるだろう。キャスティングの時点で勝ち確定と言ってもいいくらい、ママ味がすごい。元より小賢しい話は期待していないので、顧客の需要に応えるものをしっかりとお出ししてくれればそれでいい。ラノベ勢では最も期待できる作品。

手品先輩

 ヤングマガジンのギャグ漫画が原作。可愛い先輩がひたすら手品を失敗するアニメである。メインヒロイン先輩がやたらエッチな体つき、かつポンコツというのが実に深夜アニメらしい。

 うどんの国や恋と嘘寄宿学校のジュリエットで副監督を務めていた臼井氏に制作がライデンフィルムということで、講談社となじみ深い布陣である。15分という尺は小難しいことをするよりエロ展開で押した方が面白くなるちょうどいい時間。原作はかなり人気だしポテンシャルはあるはずなので上手くアニメ化してほしい。

ナカノヒトゲノム【実況中】

 漫画が原作のアニメ。「実況中」のタイトル通り、ゲーム実況がモチーフになっている。人気ゲーム実況者たちが実際のゲーム「ナカノヒトゲノム」の世界に閉じ込められ、再生数1億を超すまで実況させられる、というのがあらすじ。この手の設定からするとデスゲームものっぽく派手に人が死にそうに聞こえるが、そういうわけではない様子。どっちかというと「やってたゲームの異世界に転生する」系の異世界ものの方が近いかもしれない。

 とにかく「実況」という要素の新しさが注目したいポイント。ここをどう扱うかでアニメとしての位置が決まると思う。原作人気がありながらもアニメ化発表から放映まで1年以上空いているというのが少し気になるが、期待したい。

魔王様、リトライ!

  • 監督:木村寛
  • シリーズ構成:谷崎央佳
  • アニメーション制作:EKACHI EPILKA

 なろう小説出身のラノベアニメ。やはり舞台は異世界である。主人公が自分の経営するゲームの魔王としてプレイしてたらそのまま転生してしまったというのがあらすじであり、このあらすじのせいでオバロファンから叩かれたりなんだりしてるらしい。作品をググるとサジェストで「パクリ」と出てしまうのはかなり可哀想である。

 監督は長尺アニメでは珍しい木村寛、構成はアニメ初めての人で元請けもほぼ制作実績がない新会社。かなりフレッシュなメンツが揃えられた感じがする。色々不安な面もあるが実績がない分可能性があるので大化けに期待したい。

まちカドまぞく

 TBSモクヨルアニメの前半枠。この枠ではなじみの深いきらら作品が原作となっている。主人公が闇の魔族の末裔で魔法少女と戦ったりもするが、設定として壮大なものがあるだけで基本はきらららしい日常ものな様子。監督・構成ともにベテランな上、制作も安定のJ.C.STAFFということで、モクヨルとしては不安要素の一切ない布陣となっている。

異世界チート魔術師

 なろう原作アニメ。ジャンルと作品の雰囲気を端的に表したタイトルは徹底して機能的であり、もはや「芸術」の域に達しているといってもいいのではないだろうか。公式サイトのあらすじも「不思議な光に包まれて異世界に行ったらチートな能力を持っていた」というベタ中のベタな内容である。「曲がり角で転校生とぶつかる」のようなベタすぎて逆に見ない展開をあえてしてるところには独特の「胆力」すら感じる。

 放送枠的にも「角川のラノベ原作深夜アニメ」感がすさまじいのだが、制作がメルクストーリアのエンカレッジフィルムズであるのが少し意外なところ。魔法少女サイトで構成だった伊神さんが構成だったりとややトリッキーなスタッフも含めてどのようなアニメになるか気になる。あらすじは没個性すぎて何も情報がないだけに演出のキレに期待したい。

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-

 タイトルだけだと分かりにくいが、Fateシリーズの一部に属するアニメ。アポクリファと同じく、派生小説を原作にしている。主役はアポクリファのとき冒頭で出てきた黒髪ロングの男性、もといFate/Zeroでなんか右往左往してたウェイバー君が成長した姿である。Fateと言えば聖杯戦争だが、今回は「事件簿」のタイトルにある通りバトルがメインではなく、より魔術に軸を置いた話らしい。

 監督に加藤誠、バイザーにあおきえいというTROYCAの鉄板の布陣。アニプレックスの看板の一つであるFateシリーズの作品だけあってリソースも潤沢にあるはず。アポクリファやLastEncoreなど事前の盛り上げに比べるといささか名ばかり感が出てしまった作品が続いてきたが、ここらでひとつ評判通りの名作になってほしい。

ありふれた職業で世界最強

 正統派なろう原作アニメ。異世界召喚ものであるが、クラスみんなで転生して異世界に行ってもクラスのカーストが固定されるという、なかなか鬱屈した始まり方をしている。どうやら「異世界転生」と「いじめられっ子の復讐劇」が掛け合わせられているようで、ネット小説の王道要素W盛りという感じである。

 PV数億越えという結構な人気原作のようなのだが、制作体制が非常に珍しい形。クイーンズブレイドや機巧少女などエッチな深夜アニメで信頼の強いよしもときんじ監督に、ビッグオーダーなどを作っていたASREADという組み合わせ。ここだけ見ると「こちら側」なのだが、そこにはたまおやゴブスレなどの「ガチ勢」指向のWHITE FOXが組み合わさっている。本来2018年4月だった放送時期がごたごたあって今期までもつれこんだあたりも含めて不安と期待が入り混じる。異世界ファンタジー系列は今期かなり被ってるジャンルだけに、埋もれない個性を出してほしい。

ヴィンランド・サガ

 NHKの本気アニメ。バイキングたちの歴史を描いた大河漫画が原作となっている。とにかく絵がきれいで物語が重厚な質漫画ということで、漫画ファンの間ではかなり有名な原作らしい。

 NHKの本気に合わせたのか、スタッフもいぬやしきやら進撃の巨人やらのスタッフが揃っておりとても豪華。初回で一気に3話というすごい強気な構成もあって力の入れ具合を感じるが、相変わらず日曜深夜という放送時間は変わらず。まずこの時間を変えないとバズるものもバズらないのではないだろうか。配信サイトへの先行配信が功を奏すとよいのだが。

からかい上手の高木さん2

 小学館の現在の看板漫画のひとつのアニメ第2期。今はなき「あにめのめ」のとしては唯一「続いた」作品である。

 監督、制作は1期から変更がないが、脚本が大きく変わっている。1期のときに関わってないスタッフが担当するようだが、まあ原作の内容がそこまで凝っていないのであまり問題はないのだろう。気になるのはEDをまたカバー曲にするのかオリジナルにするのかくらいか。

ギヴン

 今期のノイタミナ枠。バンドを通して青年たちが絆を深めていく人気BL漫画が原作となっている。ノイタミナはもともとF1層(20~34代女性)を意識して展開されていたアニメの枠なのだが、実は今回が初めてのBLコミック原作ということらしい。やっぱりホモが嫌いな女子はいないのか。バナナフィッシュは公式によるとBLではないということか。キャラの扱いが重要になってくるジャンルだが、構成が綾奈ゆにことくれば安心である。BL漫画原作は最近だとだかいちのような名作もあっただけに、食わず嫌いせず見る価値がありそう。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

 おなじみのラノベダンまち」の2期。1期、スピンオフ、ゲーム、映画と順調にすそ野を広げてきてる感じがする。1期でなんか暗躍してたけど結局思わせぶりに魔法書を渡すだけだった日笠陽子が本格的に絡んでくる様子。

 懸念は監督が1期から変更されていることだが、戦闘シーンには定評のある人なので問題はないだろう。マキャベリズムの監督だし。構成も制作のJ.C.STAFFも変わっていないので特に問題はないはず。

とある科学の一方通行

  • 監督:鎌仲史陽
  • シリーズ構成:杉原研二
  • アニメーション制作:J.C.STAFF

 とあるシリーズのスピンオフ。ご存知、一方通行さんが主人公となっている。

 インデックス3期がだいぶ早足な話運びで不評だったが、こちらはストックもそこまでない(既刊9巻)のでゆっくり展開されそう。監督は3期とは全く関係ない人であり、ビッグオーダーの監督。構成も3期とは無関係ということで、雰囲気も結構変わりそうである。一方通行のキャラ自体が好き嫌い大きく分かれるのがネックか。

Dr.STONE

 ジャンプの漫画が原作のアニメ。科学文明が崩壊した社会で科学知識を使ってサバイバルしていくというなんちゃってSF漫画である。原作者がアイシールド21の稲垣氏だけあってストーリーの引きは上手いのだが、「理論的には可能」レベルな根拠で無理やり話を広げてるので理系(特に実験系)ほど「そんな上手くいかないやろ」と言いたくなるような内容であることは否めない。後、主人公のキャラがうっざい。上手いことその辺アニメ化で調整してくれれば人気が出るかもしれないが、あのまんまだとちょっと見るのが辛そうである。